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老人ホームの種類はいくつある? 介護保険施設と高齢者向け居住系サービス施設の特徴や違いを解説

こんにちは、けあむすび編集部です。

今回は、老人ホームの種類について、学んでいきます。

老人ホームの種類はいくつある?

老人ホームの種類はいくつある?

特別養護老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど、老人ホームと呼ばれる高齢者の住まいには、複数の選択肢があります。

老人ホームは名称だけでなく、入居条件や特徴、サービスの内容、費用がそれぞれ異なっています。

老人ホームにはどのような種類があり、それぞれどのような特徴を持っているのでしょうか。
老人ホームの種類と特徴と合わせて、選び方のポイントを解説します。
施設選びの際には、利用の目的に合っているか、入居のための条件を満たしているかなどを事前に確認しておくことが大切です。

老人ホームを選ぶ際の基準

老人ホームを選ぶ際の基準は、公的施設と民間施設の違い、利用できるサービスの種類、金額、入居条件などがあります。また、入居予定者の状態によって選べる老人ホームが異なることも注意すべき点です。それぞれの違いについて解説します。

公的施設と民間施設の違い

公的施設と民間施設の違いは、施設の運営主体が異なる点にあります。公的施設は、主に国、地方自治体、社会福祉法人、医療法人、知事認可の法人などが運営しており、民間施設は民間企業が運営していることが一般的です。

公的施設

公的施設には、以下のような種類があります。費用が安いのが特徴ですが、入居の条件が厳しく、待機期間が長くなることも少なくありません。

  • 特別養護老人ホーム(特養)
  • 介護老人保健施設(老健)
  • 介護医療院
  • 養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム(ケアハウス)
民間施設

民間施設には以下のような種類があります。各施設が料金設定を行っているため価格帯が幅広く、サービスが充実した高額な施設もあります。

  • 各種の有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • グループホーム
  • シニア向け分譲マンション

サービス内容による違い

老人ホームで行われるサービス内容としては、介護、看護、医療、食事面でのサポートがあります。老人ホームの種類によって利用できるサービス内容が異なる点には注意が必要です。

介護サービスは、日常生活を送るうえでのさまざまなサポートのことで、食事や排せつ、入浴の介助などが行われます。看護サービスは、血圧体温測定、服薬サポート、褥瘡(じょくそう:床ずれ)への処置などがあります。どの程度のケアまで行うかは各施設により異なります。医療サービスは、日常的に医療ケアが必要な方に向けて医療処置を行うものです。食事サービスは、入居者に対して食事提供をしてくれるサービスのこと。施設によって食事が基本サービスに含まれているところもあれば、別途契約が必要なところもあります。

 

介護サービスを例に挙げると、介護サービスが利用できる施設の種類としては、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホーム、介護型ケアハウスなどがあります。健康型有料老人ホーム、シニア向け分譲マンション、養護老人ホーム、自立型ケアハウスでは、介護サービスの提供が基本的にありません。介護が必要になった場合は、別途外部の介護サービスの契約を結ぶか、別の介護サービス付き老人ホームに転居する必要があります。

入居条件による違い

老人ホームには、自立型から重度な介護が必要な方向けの施設まで、それぞれ入居条件にも違いがあります。

要介護度によって、入居できる施設が異なるのも注意すべき点です。介護付・住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅は、基本的に自立から要介護まで幅広く受け入れています。

要介護3以上が条件とされているのが特別養護老人ホーム。要介護1以上なら介護老人保健施設、介護医療院、介護型ケアハウスの入居が可能です。一方で、要介護レベルが低いまたは自立の場合のみ受け入れているものとしては、健康型有料老人ホーム、シニア向け分譲マンション、養護老人ホーム、自立型ケアハウスがあります。なお、老人ホームの中には、認知症の方の受け入れができない施設もあります。

入居条件については施設によって細かく定められている場合があります。老人ホームを選ぶ際には、ケアマネージャーなどと相談しながら、入居条件に合致しているかどうか事前によく確認しておきましょう。

老人ホームの基本分類

老人ホームを大きく分けると以下の4つに分類できます。

  • 介護保険サービスが受けられる公的な施設「介護保険施設」
  • 介護保険に基づいたサービスを提供する「特定施設」
  • 住み慣れた地域で介護サービスが受けられる「地域密着型サービス」
  • その他、自立した方向けの施設

それぞれどのような特徴があるのかを知っていきましょう。

施設サービスが受けられる「介護保険施設」 

老人ホームでの介護

老人ホームでの介護

老人ホームは、大別すると、介護保険が適用される施設とそうでない施設に分けられます。
介護保険とは、介護が必要な高齢者が適切なサービスを受けるための社会保険制度のことです。介護保険が適用されている施設を介護保険施設といい、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の3つがこれに当たります。

介護保険施設では、医療や介護を必要とする高齢者が長期的に入居できる体制が整えられています。重い介護状態や日常的な医療ケアが必要な方に必要なケアを提供し、利用者が適切な生活を送れるように支援しているのが特徴です。一般的には、食事、排せつ、入浴といった日常生活を送るうえで必要なお世話から、機能訓練(リハビリテーション)、療養上のお世話などの施設サービスが行われます。

特別養護老人ホームは要介護3以上、介護老人保健施設と介護医療院は要介護1以上が入居条件です。

特別養護老人ホーム(特養)の役割と特徴

特別養護老人ホームは「特養」ともばれ、基本的には要介護3以上の高齢者向けに、長期的な生活支援と介護サービスを提供している施設です。特別な医療ケアが不必要であれば看取りまで可能なことが多く、終身利用できる点からも人気が高い施設です。居住費と食費は助成を受けることができ、利用費が安いのが特徴です。入居待ちとなることも多く、数年待機しているケースも少なくありません。

介護老人保健施設(老健)の役割と特徴

介護老人保健施設では、病院から退院後に在宅復帰を目指す高齢者に向けて、リハビリや医療ケアを提供しています。「老健」とも呼ばれます。自宅と病院の中間的ポジションとして、日常生活のサポートのほか、平日の日中は医師が常勤しており医療ケアが受けられます。介護老人保健施設は基本的には短期利用となり、原則3ヵ月ごとに利用継続の可否が判断されます。要介護1~5の高齢者が対象です。費用は、特別養護老人ホームに比べるとやや高めの傾向があります。

介護医療院の役割と特徴

長期間の療養が必要な高齢者を対象とした施設が介護医療院です。介護療養型医療施設から切り替わり、介護医療院として医療サポートが必要な方に向けて介護および医療サービスを提供しています。病院や診療所に併設されていることが多いのも特徴です。ほかの施設では対応が難しい医療ケアや緊急時対応も可能で、状況に応じてはターミナルケア(終末期医療)も行うことがあります。要介護1~5の高齢者が対象で、手厚いケアが必要か、容体が安定しているかによって、Ⅰ型とⅡ型に分けられます。

 介護保険に基づいたサービスを提供する「特定施設」

民間企業が運営することが多い施設のなかで、要介護者が特定施設入居者生活介護を受けられる施設を特定施設といいます。特定施設は、介護法に定められた基準を満たし、行政から事業指定を受けた施設のことです。介護サービスを受けながら、できるだけ自由で自立した生活を送るように支援してもらえます。自立から要介護5までの幅広い高齢者を対象としており、軽度の介護が必要な方でも利用できる施設があります。

介護付き有料老人ホームの役割と特徴

介護付き有料老人ホームは、要介護のみを対象とした介護専門型と、自立や要支援も含む混合型の2種があります。介護スタッフが24時間配置されており、施設によって設備サービスや介護体制は異なります。入居施設が提供する介護サービスのほか、生活支援、看護やリハビリのサポートも、有料とはなりますが必要に応じて受けられます。

入居には一時金が必要なケースが多いのも特徴です。料金は、入居一時金は0~数億円、月額利用料は10~100万円と施設によって大きな差があります。

サービス付き高齢者向け住宅(介護型)の役割と特徴

サービス付き高齢者向け住宅は「サ高住」ともいい、介護型と自立型があります。介護型では、高齢者が自立した生活を送りながら、必要に応じて介護サービスを受けることができる賃貸住宅です。安否確認サービスと生活相談サービスのほか、介護型は常駐している担当の介護職員による介護サービスを受けることができます。なお、自立型には介護サービスは付きません。

60歳以上または60歳未満で要介護認定を受けていることが入居条件となります。安心とある程度の自由度を両立させたい方に適している施設と言えるでしょう。費用面では、入居時に2~3ヵ月分の敷金が必要になることが多く、施設によって0~数千万円と大きな差があるのも特徴です。

軽費老人ホーム(介護型ケアハウス)の役割と特徴

軽費老人ホームは「ケアハウス」とも呼ばれ、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設です。介護型ケアハウスでは、24時間の見守りサービスがあり、施設スタッフによる介護サービスが提供されるのが特徴です。食事、排せつ、入浴介助のほか、リハビリ、通院の付き添いサービスなどが行われます。

原則としてで、自宅で生活することが困難な方、生活支援が必要な方を対象としており、比較的要介護度の低い方でも入居が可能です。名称に軽費と付いている通り、経済的負担が小さいのもポイント。そのため入所希望者が多く、待機期間が長くなる傾向にあります。大都市圏のみにある都市型経費老人ホームであれば、最初にかかる入居費は不要です。

住み慣れた地域で介護サービスが受けられる「地域密着型サービス」

地域密着型サービスは、認知症や要介護状態になっても住み慣れた土地で暮らし続けられるよう、地域の実態に即した支援が提供されるようにつくられたサービスです。
地域に根差した環境で柔軟な介護サービスを提供し、地域社会での生活をサポートしてくれます。地域密着型サービスは、市町村によって指定された事業者がサービスを提供するもので、利用者のニーズに細かく対応できるように、さまざまなサービスが展開されています。

原則として65歳以上の要支援や要介護認定を受けた高齢者で、サービス提供事業者と同じ市町村内に居住する方のみを対象としています。

地域密着型特別養護老人ホーム(地域密着型特養)の役割と特徴

地域密着型特別養護老人ホームは、特養の種類のひとつです。入所定員29人以下の小規模な老人ホームで、より地域根差した支援が受けられます。地域密着型特別養護老人ホームには、サテライト型と単独型があります。

サテライト型は広域型特養を本体施設とし、そこから原則20分以内の近隣地で運営することが定められています。本体施設と連携して運営できるため、スタッフの人員配置基準や設備基準が緩和されているのが特徴です。そして、単独型は、居住地域で独自に運営される小規模で家庭的な独立施設です。ショートステイやデイサービス、小規模多機能型居宅介護などを併設しているケースもあります。

どちらも部屋タイプは、2名以上の多床室、リビングなしの従来型個室、ユニット型個室、ユニット型個室的多床室の4つが基本。入浴やレクリエーションは団体で行われます。特別養護老人ホームのため、入居できるのは原則として要介護3以上の高齢者です。

 養護老人ホームの役割と特徴

養護老人ホームは、精神的または経済的な理由により、自宅での生活が難しい高齢者のための施設です。入居者が自立した生活を送るように支援することが目的のため、自立できるようになったら退去することになります。収入がなくて困窮したり、身寄りがなくて生活が困難になったりした高齢者を養護するための施設であるため、掃除や洗濯などの自立支援、食事や健康管理などのサービスは受けられますが、介護サービスは受けられません。対象としているのは要介護認定非該当の自立した高齢者のみです。経済的困窮者を対象にしているため、入居一時金や敷金などの初期費用はかからず、月額利用料は前年度の年収によって決まります。

グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の役割と特徴

認知症の高齢者専用施設がグループホームです。5~9名程度のグループで共同生活をし、それぞれができる範囲で家事などの役割分担をするスタイルです。基本的には、複数の個室のほか、台所、食堂といった共有スペースで構成されたユニットで暮らします。

認知症の方は、環境の変化がストレスになることが多くあります。しかし、グループホームは共同生活を送るメンバーが変わらないため、顔なじみの人間関係のなかで生活でき、環境変化を最小限に抑えられるのが特徴です。認知症の方が穏やかに生活できる環境と言えるでしょう。

グループホームは、医師によって認知症と診断された要支援2以上が対象で、かつ施設と同じ地域に住民票があることが条件です。入居一時金は不要なところもありますが、数十万程度かかることが多いようです。

 その他、自立した方向けの施設 

高齢者向け住宅で自立した生活を

高齢者向け住宅で自立した生活を

まだ介護は不要だけれど、将来のことを考えて入居したい、食事の用意や家事をサポートしてもらいたい、一人暮らしは不安だが頼れる身内がいないといった、自立した方が入居できる施設もあります。
施設の種類としては、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型・健康型有料老人ホーム、シニア向け分譲マンションなどです。自立した方向けの施設は、介護保険を使用しないことが前提となります。

住宅型・健康型有料老人ホームの役割と特徴

住宅型有料老人ホームは、自立から要介護の方まで幅広い方が利用できる施設です。そして、健康型有料老人ホームは、自立した高齢者のための施設です。食事サービスのほか、レクリエーションやイベントなどが充実しているのが特徴。ほかの入居者の方とコミュニケーションを取りながら生活することができます。施設にもよりますが、露天風呂、トレーニングルーム、プールを併設するなど、健康な高齢者がシニアライフを満喫できるつくりになっています。部屋も広く、キッチンが設置されていることも多いようです。

住宅型有料老人ホームの場合、介護が必要になったら外部事業者の在宅サービスが利用できます。一方、健康型有料老人ホームは自立した高齢者のための施設であるため、要介護となった場合には退去となります。一般的には看取りや認知症ケアには対応していませんので注意しましょう。

サービス付き高齢者向け住宅(自立型)の役割と特徴

サービス付き高齢者向け住宅は、介護型が特定施設認可を受けているのに対し、自立型は自立した生活が可能な主に60歳以上を対象とした施設です。自立型のサービス付き高齢者向け住宅では、安否確認や生活相談が受けられ、高齢者が安心して暮らせるような見守りが充実しています。また、外出や外泊が自由な場合が多く、施設内でのイベントが行われているところや、ほかの利用者との交流が可能なところもあります。自由度が高く、楽しみながら安心して生活を送りたい方に適した施設と言えるでしょう。

大半の場合、食事はオプションサービスとして提供しているため、別途契約が必要です。ほかにもオプションサービスとして、緊急事態対応、洗濯や掃除などの生活支援サービスを提供していることがあります。どのようなサービスの種類があるかは施設によって異なるため、入居を検討している場合は事前に確認しておきましょう。介護や医療サービスを受けたい場合は、館内併設または外部の事業者による医療機関などを受診することになります。なお、賃貸住宅と同じ扱いのため、入居一時金が必要です。

シニア向け分譲マンションの役割と特徴

シニア向け分譲マンションは、民間事業者が販売・運営する分譲住宅です。バリアフリー構造になっていたり、コンシェルジュが常駐していたりと、高齢者の暮らしに配慮されているのが特徴です。施設によってさまざまなサービスが展開されており、家事代行、食事の提供、緊急時対応などが充実しています。また、共用エリアではレストラン、大浴場、売店、カラオケなどが設けられている施設もあります。通常の分譲マンションと同じく取得すると資産となるため、相続財産の対象となります。また、売却や賃貸に出すこともできます。

基本的に自立して生活できることが入居条件になるため、60歳以上だけでなく50代から入居できるところもありますが、介護や医療ケアは提供されません。もし介護が必要になった場合は外部の在宅サービスを利用することになりますが、要介護状態になると生活を続けることが難しくなる可能性があります。

設備が充実しているため、物件価格は高めに設定されている傾向にあり、価格は1,000万~1億円以上になることも少なくありません。購入後も、月額管理費や修繕費、固定資産税がかかります。入居に際しては、介護の必要性のほか、支払い能力があるか、収入や資産状況の審査が必要になることが多く、特に経済面から比較的ハードルが高い施設と言えるでしょう。

高齢者専用賃貸住宅の役割と特徴

高齢者専用賃貸住宅とは、高専賃とも呼ばれます。民間事業者などが運営しており、都道府県単位で認可・登録されている高齢者限定の賃貸住宅です。主に自立または軽度要介護の高齢者を対象としており、基本的には認知症の方は利用することができません。施設によっては、外部事業者による見守りサービス、家事支援、緊急時対応、介護サービスなどの提供があります。

なお、高齢者専用賃貸住宅は2011年に制度が廃止され、施設として残ってはいますが、以降はサービス付き高齢者向け住宅へと移行が進んでいます。

自立型ケアハウスの役割と特徴

軽費老人ホーム(ケアハウス)のひとつで、健康状態には問題ないが、自宅での生活が困難な方を対象とする施設です。原則60歳以上が対象で、夫婦で入居する場合はどちらか一方が60歳になっていれば入居が可能です。

自立型ケアハウスでは、食事や洗濯などの家事を行う生活支援、緊急時対応などのサービスを受けながら生活することができます。介護型に対して、自立型では介護サービスが常設されていません。介護が必要になった際には、訪問介護、訪問看護、デイサービスといった外部の在宅サービスを利用することになります。要介護3以上の介護状態になった場合は住み続けることが難しいため、別の介護施設や介護型ケアハウスへ転居が必要になるケースもあります。

なお、ケアハウスの場合、入居に関して所得や資産の制限はありません。

コレクティブハウスの役割と特徴

コレクティブハウスは、トイレやキッチン、浴室が完備されている個室があり、かつ共用キッチンやダイニングなどの共用スペースといった交流を図れる場所がある住居で、コレクティブハウジングともいいます。スウェーデンなど北欧に多くみられる共同生活を営む集合住宅であり、多世代がかかわりあって暮らすスタイルが特徴。家事や育児などを共同で行うことを前提としています。一人暮らしの高齢者にとっては、孤独感が減ったり、セキュリティー上の安心感が得られたりするメリットがあります。シェアハウスに似ていますが、コレクティブハウスの場合は、個室内にトイレ、キッチン、浴室が供えられている点が異なります。

コレクティブハウスは介護施設ではなく、あくまで共同生活を送る住宅です。そのため介護が必要になった場合は、別途介護サービスの利用や介護付き施設への転居することなります。なお、コレクティブハウスという名称が付いていても、種類としては住宅型有料老人ホームの施設もあるため、施設選びの際にはサービス内容などをよく確認するようにしましょう。

各施設の費用比較

老人ホームに必要な費用って?

老人ホームに必要な費用って?

老人ホームに入居する際に必要な費用は、主に入居一時金と月額利用料の2種類です。入居一時金は施設に入居する際に前払いの家賃等として払う料金、そして月額利用料は居住費や食費などを内訳とした、施設利用費として毎月払う料金です。そのほか、介護サービスを利用した場合は、要介護度や所得に応じた自己負担割合分の介護サービス費用が発生します。

 

基本的には、特別養護老人ホームなどの公的施設は入居一時金がかからず、月額利用料も民間施設に比べて安い傾向にあります。それに対し、介護付き有料老人ホームなどの民間施設では入居一時金がかかることが多く、0円から億を超える施設まで、金額には大きな幅があります。また、月額利用料の目安金額も10~100万円程度と、こちらも施設による差が大きいのが特徴です。家賃等の支払いについても、入居一時金として一括で前払いするケースもあれば、月払い方式で支払うケースもあります。

 

例えば同じ介護付き有料老人ホームであっても、A施設は入居一時金が0円で月額利用料が50万円、B施設は入居一時金が700万円で月額利用料が25万円、C施設は入居一時金が2,000万円で月額利用料が20万円など、施設によってかかる費用はさまざまです。

施設の種類やサービス内容のほか、地域によっても金額には差が出ますので、入居を検討している場合には、事前に施設があるエリアの相場を確認するとよいでしょう。

老人ホームを選ぶときのチェックポイント

老人ホームを選ぶときには、入居条件や費用のほか、立地や提供されるサービスの内容なども確認しておくことをおすすめします。
老人ホームを選ぶときのチェックポイントを見ていきましょう。

施設の種別

まずは、利用する方が入居できる老人ホームはどの種類なのか、入居条件などを確認します。要介護度が該当しているか、入居可能なエリアか、費用、介護や疾病の有無など、ひとつひとつチェックしていきましょう。同時に、入居だけでなく退去の条件についても確認することが重要です。施設によっては、要介護や認知症になった場合に退去しなければならないところもあります。終身利用を考えている場合は特に、要介護度が高くなったとき、医療ケアが必要になったとき、長期入院のときなど、長い目で見て検討するとよいでしょう。

立地

入居者本人が住みたいエリアに入居することも大事ですが、入居後に家族が会いに来ることも考慮して、面会しやすいエリアが望ましいケースもあるでしょう。何かあったとき、親族が駆け付けやすい場所にあることが大切です。施設選びの際には、最寄駅からの距離やタクシーでの所要時間、料金なども合わせて調べておくことをおすすめします。

また、自立や要介護度が軽度の場合は、入居者本人が外出や買い物に出かけることがあります。施設周辺の雰囲気、治安、商業施設の有無、利便性なども確認しておくとよいでしょう。高齢者でも安心して暮らせる環境かを見極めることが大切です。

ケア体制

受けられる介護サービス、医療サービス、生活支援サービスは施設によって異なります。また、在籍するスタッフの人数も施設によりそれぞれです。例えば介護付き有料老人ホームでは、利用者3人につき介護・看護職員1名を最低基準としています。基準よりも多いスタッフがいれば、それだけ手厚いケアを受けられることになるでしょう。

サービス内容のほかにも、提携医療機関、看護師やリハビリ専門職の配置、緊急時の対応、看取り対応の可否、訪問医療や健診の頻度など、希望するケアを適切に受けられる体制が整っているかをチェックすることが大切です。

食事の内容

毎日の食事はとても重要なポイントです。食事サービスが付いているかの確認のほか、食事内容についてもチェックしておきましょう。味付けや好みに対応してくれるか、温かいご飯を食べることができるかなど、個別対応については施設によって異なります。また、普通の食事ができない場合は、医療食や介護食に対応できるかも重要なポイント。追加料金の有無についても確認しましょう。

咀嚼や飲み込みに不安がある場合は、管理栄養士などが食事の様子を観察してくれるミールラウンドを実施しているか確認することをおすすめします。可能であれば、事前に献立表を見たり、試食の機会を利用したりすることで、実際の食事をチェックすることができます。

施設の雰囲気

施設の雰囲気が入居予定の方に合っているかを調べるには、施設の男女比や年齢比を見てみましょう。また、イベントの有無や施設内の雰囲気もチェックすることが大切です。大人数が苦手な方は個室でゆっくり過ごせる環境があるか、おしゃべり好きな方はほかの利用者とコミュニケーションを取れる場があるかなど、施設の環境や雰囲気が利用者に合っているか、事前に確認しておくとよいでしょう。人が多い時間帯に見学に行くと、普段の雰囲気がわかりやすいのでおすすめです。

 プライベートの有無

個室か多床室(相部屋)かによっても、生活スタイルは大きく変わります。プライベート空間を確保したい、今までと変わらない生活を維持したいという場合には、個室に入居できるかの確認も必要です。ある程度自立している場合には、個人用の浴室やキッチンの有無もチェックしておくと、入居後の生活がイメージしやすくなるでしょう。

また、持ち込める家具や物品などの確認もしておくことが大切です。仏壇の持ち込みや、個室にテレビを設置できるかなど、プライベート空間の環境や許容されていることも事前に確認しましょう。施設によってはペットの飼育が許可されているところもあります。

老人ホームに入れない場合の対応方法

老人ホームは入居希望者が多く、何年も待機しているケースも少なくありません。そのため、希望の老人ホームにすぐに入れるとは限らないのが現状です。すぐに入居できない場合には、在宅サービスの利用を検討しましょう。

介護保険を利用するサービスとしては、訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具レンタルなどがありますので、希望する場合には地域包括支援センターへ相談するのがおすすめです。

また、介護保険外の自費で受けられるサービスにもさまざまなものがあります。訪問介護や生活支援のほか、自費サービスの場合は介護保険では受けられないサービスを利用できるのがポイント。例えば、散歩や趣味のための外出付き添い、草むしりやペットの世話、家族の援助になる家事代行、認知症の方の話し相手など、日常生活におけるさまざまな面で役立つサービスが提供されています。老人ホームに入る前のサービスとして、介護保険外のサービスも検討してみてはいかがでしょうか。

 

介護保険外だからいつでも、なんでも相談できる

 

まとめ

老人ホームにはさまざまな種類があり、それぞれ入居条件や利用できるサービス、かかる費用が大きく異なります。
老人ホームへの入居を検討する際には、入居者に適した種類かどうか、受けられるケアやサービスの内容、費用、施設の環境や雰囲気など、総合的に判断して施設選びをしましょう。

大切なのは、入居する方にとって必要なサービスや環境が整っているかどうかという点です。入居時だけでなく、介護や医療ケアが必要になったとき、看取りのときなど、入居した後の生活まで考えて、本人を交えて家族でよく相談して決めることをおすすめします。また、すぐに老人ホームに入れないときには、在宅介護の介護保険サービスや介護保険外サービスを利用するのもひとつの手です。ぜひ検討してみてください。